取締役は会社として法令違反となる行為をしてはなりません。
法令違反の事例として、大阪高裁平成19年1月18日判決を紹介します。

本事例は、株式代表訴訟において、食品販売会社(C社)の元取締役ら(A、B)が、商品に無認可添加物が混入していることを認識したにもかかわらずこれを秘して販売継続を決定し、通報者(F社のG)に対して口止め料を支払うなどした行為が、会社に対する善管注意義務に違反するとして、会社の社会的信用が失墜したことや加盟店に対する営業補償が必要になったこと等による損害の一部につき元取締役らの会社に対する賠償責任が認められた事例です。

(1)事案
C社(ダスキン)のEフランチャイズ事業(ミスタードーナツ)における事案。
Eが肉まんを中国にて製造し、販売していたところ、その肉まんに当時の食品衛生法6条(現行の食品衛生法10条に相当する。以下、当時の食品衛生法を「食品衛生法」という)に違反し、人の健康を損なうおそれのない場合として厚生大臣(平成12年当時、以下同様)が定めていない(日本国内で使用が禁じられている)添加物である酸化防止剤t-ブチルヒドロキノン(以下「TBHQ」という)が混入していた(以下「本件混入」ともいう)。
C社は、同混入の事実を把握していなかったが、この事実は、株式会社Fの代表取締役Gの知るところとなった。Eフランチャイズ事業本部内の商品本部プロダクトマネージャー統括部長であるTは、平成12年11月30日、Gから、肉まんに食品衛生法6条が禁止する添加物であるTBHQが混入している旨の指摘を受け、上司である控訴人Bにその旨報告し、控訴人Bは、上司である控訴人Aにその旨報告し、控訴人らは、同混入の事実を確認した上、同年12月2日、Dに対し、肉まんの製造の停止を指示し、Dは、中国の工場の操業を停止させた。その後、Dは、TBHQの代わりに添加物として食品衛生法上認可されているHPW-43E(ビタミンE)を使用することとし、平成12年12月6日、中国の工場における肉まんの製造を再開した。控訴人らは、TBHQ混入の肉まんの在庫品について、同混入の事実を公表することなく、かつ、出荷停止、販売禁止、廃棄処分等の措置をとることもなく、全国のE店舗において販売を継続する(以下「本件販売継続」という)こととし、平成12年12月2日から同月20日頃までの間に、その販売個数は約300万個に達した。控訴人らは、本件混入の事実を隠蔽するため、F又はその代表者Gに対し、口止め料として6300万円を支払うこととし、C社から、平成12年12月13日800万円、同月15日2500万円、平成13年1月18日3000万円、合計6300万円を拠出して支払った。C社の控訴人らを除く役員らも、平成13年5月頃までには、本件混入及び口止め料支払の各事実を認識するに至り、役員会は、同年9月、その決議により、同各事実に関する調査のため「E調査委員会」を設置し、同年11月、同委員会から報告書の提出を受けたが、それ以上に、TBHQ混入の肉まんの正確な販売数量や在庫確認等の調査を行うこともなく、本件混入に関する事実を一切公表することもなかった。この間、控訴人Aは同年6月C社の専務取締役を退任し、控訴人Bは同年12月取締役を退任した。平成14年5月20日、マスコミにより、C社が販売した肉まんに日本国内で使用が禁じられているTBHQが混入していた旨の報道がなされた。平成14年5月23日、C社本社は、大阪府警による食品衛生法違反の嫌疑に基づく捜索を受けた。平成14年5月31日、C社は、大阪府知事より、食品衛生法6条違反のTBHQ混入の肉まんの販売を理由に、中国で製造された肉まんにつき、仕入及び販売の禁止の行政処分を受けた。

(2)判断-法令違反
控訴人らは、Dの製造した肉まんに、平成12年当時の食品衛生法6条に違反し日本では使用が許されていない添加物であるTBHQが混入していることを認識しながら、その販売を継続すること(本件販売継続)を決定し、実行に移させたものであり、これが当時の同条に違反する行為であることは明らかである。ところで、旧商法266条1項5号にいう「法令」には、取締役を名あて人とし、取締役の受任者としての義務を一般的に定める同法254条3項(民法644条)、旧商法254条ノ3の規定及び取締役がその職務遂行に際して遵守すべき義務を個別的に定める規定のほか、会社を名あて人とし、会社がその業務を行うに際して遵守すべきすべての規定が含まれると解するのが相当であるところ(最高裁第二小法廷平成12年7月7日判決・民集54巻6号1767頁)、食品衛生法6条は、食品を販売する会社であるC社を名あて人とし、同社がその業務を行うに際して遵守すべき規定であるから、旧商法266条1項5号にいう「法令」に当たるものというべきである。
次に、控訴人らは、本件混入を認識しながら本件販売継続を行ったばかりか、その事実を公表することなく、逆にその事実が外部に漏洩することを防止するため、本件混入の事実の通報者であるGに対し、口止め料を支払ったことは、前記二7、8認定のとおりであり、控訴人らは、前記二9認定のとおり、平成13年2月頃、Mから本件混入の話を聞いた当時の代表取締役社長のJから呼び出されて、質問されるまで、Jや役員協議会に報告した形跡もない。この点に関しては、前記二1認定のとおり、C社がフードサービス事業部門を擁する大企業であり、前記二4認定のとおり、D製造に係る肉まんが月産400万という膨大な個数である上に、食品衛生法は、同法6条違反につき同法30条、33条の刑事罰を規定していることからすると、本件混入の事実の判明は、社会的に極めて大きな影響を及ぼすことが予想され、C社にとっては極めて深刻な事態というべきところ、前記二5認定のとおり、C社は平素より「危機管理行動チェックリスト」を策定するなどして危機管理体制の構築に努め、経営上重要な問題に関する稟議規定も存し、当時g株式会社の製品による集団食中毒事件における隠蔽体質が社会的な批判を巻き起こした折柄、当該事件に関し、講師を招いて危機管理セミナーを開催し、h株式会社が目薬への異物混入につき損失覚悟で直ちに公表し大量の製品の回収の措置をとった事例との比較をするなどして、危機管理の欠如に対する反省点、対応策等を含む問題点の解説論評等がなされて間がない時期でもあったことからすると、C社としては、危機的状況においては、役員らに対し、g株式会社の愚を繰り返さずh株式会社に倣った適切な危機管理を求めていたことは明らかであるから、C社のフードサービス事業部門の責任者で取締役である控訴人らとしては、直ちに事態の深刻性を認識し、速やかに危機管理体制の正常な発動を促すべく、稟議規定に従い役員協議会に対する報告を行い、社会問題化や企業責任の追及が懸念されることから、「危機管理行動チェックリスト」に従い全社緊急対策本部の設置を提言するなどし、さらにはTBHQ混入の肉まんの販売中止回収、関係当局への通報、事実の公表、購入者に対する注意喚起、情報提供等の措置をとるなど、C社の信用失墜の防止と消費者の信頼回復のために努力すべき善管注意義務があったものというべきである。ところが、実際控訴人らがとった行動は、上記のとおり事実の隠蔽であり、役員協議会に報告することも、危機管理体制の発動を促すこともなく、C社の信用失墜の防止と消費者の信頼回復のための措置をとることもなかったものであり、それは、C社が危機的状況において役員に期待する行動規範に反することはもちろん、C社の信用を著しく毀損し、消費者の信頼を失わせるもの以外の何物でもなく、C社の利益に反するものであり、上記善管注意義務に反するものというべきである。
ところで、控訴人Bは、その請求原因に対する認否3(2)第三段のとおり、①TBHQが十数か国で使用許可され、②WHOで毒性非検知とされ、③肉まんへの混入量が微量で健康被害が考えられず、④日本で許可されていないのは申請されていないことによるもので、⑤現に検査結果では非検出であったことなどを挙げて、年末の繁忙期に突然肉まんの製造供給を停止し、在庫を回収破棄し、在庫切れを来すことは、加盟店等の多数の販売店の信頼と経営に深刻な打撃を与えかねないことから、これを回避するため、ショートニングの切り替えに必要な期間、販売を継続することは、いわゆる経営判断の原則上、不合理ではなく、取締役の経営判断として許容される裁量の範囲を逸脱しているとはいえず、控訴人らの本件販売継続等の行為は、善管注意義務違反に当たらない旨、本件販売継続は形式的には食品衛生法6条、30条に違反するが、その実質的違法性は皆無か著しく低いから、経営判断の原則の適用は否定されない旨主張する。しかし、上記①ないし④の事実があるとしても(なお、上記⑤については、前記二7認定のとおり、検査の定量下限が肉まんへのTBHQ混入量を上回っており、当初より不検出の結果が出ることは予想されていたのであるから、これを経営判断の原則適用の前提とすることはできない)、現に食品衛生法6条違反の事実は動かし難く、消費者の食品衛生に関する関心が高く、企業による事実や情報の隠蔽に対する社会的な批判の厳しい折柄、C社が重大な事態に陥っていることは明らかであったのであるから、前記説示のとおり、控訴人らとしては、直ちに事態の深刻性を認識し、速やかに危機管理体制の正常な発動を促すべく、稟議規定に従い役員協議会に対する報告を行い、社会問題化や企業責任の追及が懸念されることから、「危機管理行動チェックリスト」に従い全社緊急対策本部の設置を提言するなどし、さらにはTBHQ混入の肉まんの販売中止回収、関係当局への通報、事実の公表、購入者に対する注意喚起、情報提供等の措置をとるなど、C社の信用失墜の防止と消費者の信頼回復のために努力すべき善管注意義務があったものというべく、決して、自らの手前勝手な判断で行動してはならなかったことに変わりはない。上記①ないし④の事実を根拠に、食品衛生法6条違反につき実質的違法性がないことにつき自信があるのであれば、h株式会社が行ったように、その旨公表して消費者の理解を得るべく努力するのが筋であり、控訴人らがしたように、C社が被る当面の販売停止や在庫廃棄に伴う損害を回避するただそれだけの目的で、事実を隠蔽し、販売を継続することは、消費者の食の安全衛生に関する心理を無視して自社の目先の利益を優先するものにほかならず、明らかに消費者を軽視するものであり、消費者からの重大な反発を招き、C社に対し、当面の損害回避によって得られる利益を遙かに超える深刻な損害をもたらすであろうことは、g株式会社の事例によっても、容易に想像できたものである。したがって、本件に経営判断の原則適用の余地はないものというべきであり、上記主張は到底採用の限りではない。

(3)判断-損害
C社の本件販売継続については、厚生労働省又は農林水産省への匿名による通報があり、平成14年5月15日、保健所が大阪府下のE店8店舗に立入検査をしたことをきっかけとして、同月20日、pからC社に対し取材がされた。そこで、C社は、同日、記者会見をして、本件販売継続の事実を公表した。翌21日以降、新聞等のマスコミによって、C社の本件販売継続等に係る事実が報道された。特に、C社が食品衛生法上使用が許されていない添加物を含んだ肉まんの販売を故意で継続するという食品衛生法違反行為を行った点、当該事実を指摘した業者に口止め料として6300万円を支払った点、更に当時の社長であったJにより隠ぺいの指示がなされた点等の疑惑が大きく取り上げられ、批判の対象とされ、一般消費者からも非難の声が高まった。他方では、TBHQが欧米等では十数カ国で使用が許可され、WHOでは毒性非検知とされ、肉まんに含まれている量では健康への影響はなく、日本で許可されていないのは他に良い抗酸化性の添加物が許可されているからで、仮に申請すれば許可される可能性が高い旨の指摘や報道もあった。大阪府は、平成14年5月31日、C社に対し、食品衛生法6条違反のTBHQ混入の肉まんの販売を理由に、中国で製造された肉まんにつき、仕入及び販売の禁止の行政処分をした。C社は、その日、上記処分を受けて、Pの報酬を3か月間全額カットすること、Qを代表取締役副社長から代表取締役専務に降格し、その報酬を3か月間30パーセントカットすること、Rを常務取締役から取締役に降格し、その報酬を3か月間20パーセントカットすること並びにb、Z、c及びdの取締役報酬を3か月間20パーセントカットすることなどの処分を決定した。C社は、平成14年6月20日開催の取締役会において、「C社再生委員会」の発足を決定した。同委員会は、労使合意の上で、有識者、加盟店、役員OB、従業員、株主、消費者の各代表者等によって構成され、同年9月までの間に8回の会合を持ち、本件販売継続や6300万円の支払等に関し事実調査や意見聴取等を行い、同月25日に報告書を提出した。同委員会は、なぜ本件混入が生じたのか、なぜ本件販売継続や6300万円の支払等のような事態が生じたのか、なぜ事実発覚後も経営陣が適切な措置を講じなかったのかという3局面に分けて検討を行い、問題点として、食品メーカーとしての食品の安全に関する基礎的な知識の欠如、企業集団内の利害のみを考えて一般消費者の視点を忘却したこと、業者の口封じにより企業の脆弱性や隠蔽体質が露呈したことなどを指摘し、企業再生の方策として、経営陣の一新、加盟店問題への取組、E部門の分社化、企業集団全体の意識改革、消費者の意見や苦情を直接くみ上げるシステムの構築等を提言した。C社及び控訴人らは、いずれも、平成15年9月4日、本件販売継続の一部につき、食品衛生法違反の罪で、罰金20万円の略式命令を受けた。一連の本件販売継続に関するマスコミ報道や行政処分等により、C社は企業として著しくその信用を失墜し、消費者離れが進み、E加盟店の売上の大幅減少を来たすなどの損失を被り、C社は、下記イないしホのとおりの出費を余儀なくされた。
 イ E加盟店営業補償
C社は、本件販売継続に関するマスコミ報道や行政処分等の後のE加盟店の売  上減少につき、同加盟店から補償の要求を受け、話し合いの結果、各加盟店毎の平成14年5月21日から同年9月30日までの減収額(同一期間における過去3年の平均売上高と比較した場合の減収額)に、過去3年の平均限界利益率を乗じた利益相当額を補償することを余儀なくされ、その総額は57億5200万円に達した。
 ロ キャンペーン関連費用
C社は、本件販売継続に関するマスコミ報道や行政処分等を受けて、一定期間、Eフランチャイズ事業の営業活動及び販売活動を自粛し、その後、信頼回復及び売上回復のためにキャンペーンを行ったが、上記自粛により不要となった販促ツール(景品類)の回収費用及び実施前に中止されたキャンペーンの中止までに要した費用並びに自粛後のキャンペーン費用合計20億1600万円の支出を余儀なくされた。
 ハ CS組織員さん優待券及びSM・MM等特別対策費用等
 C社は、本件販売継続に関するマスコミ報道や行政処分等を受けて、Eフランチャイズ事業の信頼回復及び売上回復の方策の一環として、顧客向けに優待券を発行し、顧客が加盟店で使用した優待券を加盟店から引き取ることとし、そのための出費を余儀なくされ、また、その影響が及んだクリーンサービス事業につき対策費用、サービスマスター事業及びメリーメード事業につき加盟店等への営業支援費用等の出費を余儀なくされ、その総額は17億6300万円に達した。
 ニ 新聞掲載・信頼回復費用
 C社は、本件販売継続に関するマスコミ報道や行政処分等を受けて、信頼回復及び売上回復のため、新聞広告を掲載し、セールチラシの折込み等を実施し、或いは店頭でのお知らせポスター等を制作するなどし、これらの費用として合計6億8400万円の支出を余儀なくされた。
 ホ 飲茶メニュー変更関連費用
 C社は、本件販売継続に関するマスコミ報道や行政処分等を受けて、肉まん等の販売を中止せざるを得なくなり、その在庫品、仕掛品或いは賞味期限切れ商品の廃棄、飲茶メニュー変更を余儀なくされ、これら廃棄損等の合計額は3億4600万円に達する。
 ヘ 合計(イないしホ) 105億6100万円
 以上のとおり認められ、上記認定を左右する証拠はない。
 上記認定事実並びに前記三2の説示によれば、控訴人らの食品衛生法違反及び善管注意義務違反に係る本件混入の隠蔽及び本件販売継続により後日その発覚を経て、C社は信用失墜等に伴う売上低下の事態に陥り、その信頼回復及び売上回復のために105億6100万円の出費を要したものというべきである。
 ところで、控訴人らにとって本件混入そのものにつき善管注意義務違反を問う余地がないことは、前記三1説示のとおりであるが、仮に控訴人らが前記三2説示に係る善管注意義務違反を犯すことなく、善管注意義務に忠実に直ちに肉まんの販売を中止し、本件混入を公表するなどの適切な措置をとったとしても、本件混入そのものによって一定程度の信用の失墜ないしE加盟店の売上低下は回避できず、その信用失墜ないし売上低下による営業補償、販売自粛、信用回復及び売上回復のためのキャンペーン、新聞掲載、飲茶メニューの変更等の措置をとらざるを得ず、そのためにそれ相応の出費を要する筈のものと解するのが相当である。そうだとすれば、控訴人らの上記善管注意義務違反等の本件販売継続等の行為と相当因果関係にあるC社の信用失墜回復関係費用等の損害額は、上記105億6100万円から控訴人らが善管注意義務等を尽くした場合においてもC社に生じたであろう信用失墜回復関係費用等の損害額を控除した残額と認めるべきものである。そこで、控訴人らが善管注意義務等を尽くした場合におけるC社に生じたであろう信用失墜回復関係費用等の損害額を考察するに、この点は容易に具体的な数値の算出は困難ではあるが、前記二5認定のとおり、g株式会社の隠蔽体質については大きな社会的非難が巻き起こり、消費者の離反や同社の大幅な売上低下が顕著であったのに対し、h株式会社の率先した事実公表と商品回収の措置についてはさしたる非難の声も上がらず、消費者の離反や売上低下を来した形跡もないことに加えて、上記認定のとおり、本件混入の隠蔽及び本件販売継続の発覚後のマスコミ報道では、特に、C社が食品衛生法上使用が許されていない添加物を含んだ肉まんの販売を故意で継続するという食品衛生法違反行為を行った点、当該事実を指摘した業者に口止め料として6300万円を支払った点、更に当時の社長であったJにより隠ぺいの指示がなされた点等の疑惑が大きく取り上げられ、非難の対象とされた一方で、TBHQが欧米等では十数カ国で使用が許可され、WHOでは毒性非検知とされ、肉まんに含まれている量では健康への影響はなく、日本で許可されていないのは他に良い抗酸化性の添加物が許可されているからで、仮に申請すれば許可される可能性が高い旨の報道もなされていたことなどからすると、控訴人らが善管注意義務を尽くし、いち早く販売を中止し、商品を回収し、消費者に対し事実関係を公表し、謝罪するなどの措置をとっていれば、信用失墜や売上低下は限定的なものにとどまり、加盟店への補償や信頼回復及び売上回復のためのキャンペーン等に要する出費もさほどの額に達しなかった可能性が高いものというべきであり、上記発覚後の出費105億6100万円の半額を超えることはなかったものと認めるのが相当である。
 したがって、控訴人らの善管注意義務違反等の本件販売継続等の行為と相当因果関係にあるC社の信用失墜回復関係費用等の損害額は、少なくとも上記105億6100万円の半額に当たる52億8050万円と認めるのが相当である。
プラス口止め料6300万円