1 労使関係を規律する法律等

近年、就業形態が多様化し、労働者の労働条件が個別に決定、変更される場合が多くなったため、それに伴って、労働関係紛争も増加しています。そこで、使用者や労働者、労働組合の関係について規定する、様々な法律等が定められています。

2 労働契約法

労働契約法は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、または変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定または変更が円滑に行われるようにする法律です。これは、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的としています(労働契約法第1条)。

労働契約法は、民法や個別の法律に基づいていた労働契約の基本的な理念及び労働契約に共通する原則や、積み重ねられてきた判例法理に沿って、労働契約の内容の決定及び変更に関するルール等を一つの体系としてまとめるべく制定されたものです(平成19年12月5日制定。平成24年8月10日最終改正)。内容としては、労働契約の成立及び変更、継続及び終了、期間の定めのある労働契約などについて定められています。

3 労働協約

労働協約とは、労働組合と使用者またはその団体との間の労働条件その他に関する協定であって、書面で作成され、両当事者が署名または記名押印したものをいいます(労働組合法第14条)。詳細は別途述べます。

4 就業規則

就業規則とは、使用者が、労働者の労働条件や、従業員が守るべき服務規律・職務規律について定めた規則をいいます。詳細は別途述べます。

5 労使慣行

労使慣行とは、就業規則、労働協約、労働契約などの成文の規範に基づかない、労働条件、職場規律、施設管理、組合活動などについての長い間反復・継続して行われた取扱いないし処理方法で、使用者と労働者ないし労働組合の双方に対し事実上の行為準則として機能するものをいいます。

労働慣行として認められるためには、(1)長期間、反復・継続されていること、(2)当事者が明示的にこれを排斥していないこと及び(3)争点となった労働条件に関して決定権限を有する者が規範意識を有していることという要件を満たさなければならないとされています。