Q 破産申立後、免責許可決定が出された破産者が、日常生活において制限されることで、破産後のごく一般的な生活に支障をきたすと思われるものはどのようなものがありますか。または、制限される意外なものはありますか。
(特殊な資格保有者を除く一般的な会社員や主婦、学生(未成年含む)からのご依頼の場合)

 

A 破産により制限される事項やデメリットは以下のとおりです。
①官報に住所、氏名が記載されます。
②一時的に資格が制限される職業等があります。
具体例:弁護士、公証人、弁理士、司法書士、税理士、公認会計士、土地家屋調査士、警備員、損害保険代理店、宅地建物取引主任者、貸金業者、後見人(その他多数)
③住宅、自動車、保険などの資産を処分しなければいけません。
④一時的に、金銭の借入れ、クレジットカード契約ができなくなります。
一般的な会社員や主婦、学生の方であれば、大きな制限やデメリットはありません。

以下、破産について一般的に誤解されやすい事項について説明します。
・不動産の賃貸借契約をすることは可能です。
・破産開始手続決定が出されると、金融機関が加盟する信用情報機関に破産に関する情報(事故情報)に登録されます。その場合、事故登録期間中は借入れ、クレジット契約が結べなくなります。事故登録期間は各機関によって異なります(免責許可決定後5年から10年程度)。ただし、破産しなくとも返済が滞れば信用情報機関への登録がなされますので、登録をおそれても意味がないと思います。
・第三者が公的機関に対して破産者の照会をすることはできません。
・信用情報についても加盟の金融機関、破産者本人とその代理人以外は信用情報を照会することはできません。
・戸籍、住民票に破産した事実が記載されることはありません。
・破産したことを履歴書に記載する必要はありません。
・入学受験の際に破産した事実を届け出る必要はありません。
・破産手続開始決定が出された場合、官報に住所、氏名が記載されますが、官報には毎日多数の破産者の情報が記載されており、これを逐一確認する以外に誰が破産したかを知る方法は通常ありません。
・公務員に就職することは可能です。ただし、資格制限の対象となる職種の場合(人事官、公正取引委員、公安委員等)は、資格制限が消滅(免責許可決定が確定した場合等)するまで就職できません。
・銀行口座を開設することは可能です。

以上をまとめますと、以下のとおり考えてよいと判断します。
・契約は、金銭の借入れ、クレジットカード契約以外については制限はありません。免責許可決定から5~10年経てば金銭の借入等も可能となります。
・職業の資格制限には注意が必要となります。
・以上の制限以外には特に制限はありません。
・他人に破産したことを知られる可能性はほとんどありません。